EPMA分析
製品開発・品質
土木・建築
OUTLINE
サービス概要
EPMA分析について
電子線プローブマイクロアナライザー (Electron Probe Micro Analyzer:EPMA)では、真空条件下で試料表面に電子線を照射し、発生する特性X線を波長分散分光法(以下、WDX)により分析、試料に含まれる元素とその濃度を測定することが出来ます。
FEATURES
特徴
EPMAの特徴
- 各種材料(金属、半導体、コンクリート、セラミックス、高分子)、地質鉱物など、5B ~ 92U までの元素測定が可能です。
- WDXを搭載しており、定性分析の検出下限は約0.05%程度です。(測定元素や測定条件により変動)
- エネルギー分解能が高く、微量元素も高精度で分析が可能です。
- 最小測定範囲:2µmから測定が可能で、局所的な情報を得ることが出来ます。
- 面分析に対応しており、各元素の分布を測定するマッピング分析が可能です。
EPMAの原理
試料に電子線が照射されると、試料を構成する原子の内核電子を弾き飛ばし、外殻の電子が内殻に落ち込みます。その際、軌道間のエネルギー差を埋めるために放出されるX線を特性X線と呼びます。試料より発生した特性X 線は、ブラッグの法則に従い分光結晶で回折し、検出器のスリットに集光されます。そのエネルギー値を読み取る事で元素分析を行うことが出来ます。
一般的にEPMAはWDXを搭載しており、1つの検出器で1元素しか測定することが出来ません。WDXは、分析点(電子線の照射位置)、分光結晶、検出器が常に同一円周上(ローランド円)に存在する必要があり、3つの位置関係が崩れてしまう凹凸のあるような試料は測定が出来ません。正確な測定を行うためには「測定面の平滑性」が重要となります。
表面研磨
EPMAとSEMの違い
EPMAと同様、X線を用いた表面分析機器にSEM-EDX(以下、SEM)があります。SEMも操作性が高く、様々な分野で使用されています。そのため、混同する方も多く、その違いについて詳しく理解されている人も多くはありません。
①X線の検出方法
X線の検出方法には、WDXとエネルギー分散分光法(以下、EDX)の2つの方法があります。一般的に、EPMAはWDX、SEMはEDXにより測定を行います。EDXは特性X線を電気信号に変換し、信号のエネルギーと回数を測定することで元素分析を行います。そのため、WDXもEDXも測定出来る元素は同じですが、EDXは1つの検出器で全元素を同時に測定することが出来ます。
②検出限界
一般的に、EPMAはSEMと比較し、およそ2桁低い濃度を検出出来ると言われています。これには、「分析時間の長さ」と「電子線の電流量」が関係しています。SEMにおける定性分析の所要時間は1分程度なのに対し、EPMAは約5分と長くなっています。また、特性X線の強度は電子線の電流量に比例することから、電流量を1000nAまで上げることが出来るEPMAでは微量成分も感度良く検出することが出来ます。どちらの装置も、分析時間や電流量を変化させ検出限界を下げることが出来ますが、試料に高エネルギーの電子線を長時間照射するとダメージを受け、測定が正常に行えなくなることがあります。そのため、試料ごとに装置の最適条件を検討する必要があります。
③エネルギー分解能
ピーク分離能を表すエネルギー分解能を比較すると、WDXが10eVなのに対しEDX は130eV 程度です。そのため、EDXは多くの元素を含む試料の測定には不向きで、微量元素の検出限界は0.1% 程度です。WDXはエネルギー分解能がEDXより10倍以上優れ、シャープなピークを得ることが出来るため、微量元素の定量分析の精度も高くなります。
しかし、EDXも短時間で同時に全元素の測定が可能な点や、試料表面の制約が緩い点など、WDXより有利な点も多くあります。それぞれの特徴を正しく理解し、目的に応じた選択をすることでより精度の高いデータを得ることが出来ます。
EPMA(WDX) | SEM(EDX) | |
検出限界(定性分析) | 約0.05% | 約1% |
定量分析 | 〇 | △ |
エネルギー分解能 | 10eV | 130eV |
多元素同時検出 | ✕ | 〇 |
測定面の状態 | 平滑面 | 多少の凹凸可 |
EPMAの測定範囲
EPMA分析では、試料面を微小区画に分け、1つの区画について分析する点分析、一定面積内の複数区画について分析する面分析(元素マッピング分析)、線上に並ぶ区画を分析する線分析を行うことが出来ます。
①点分析
定性分析
試料に電子線を照射した際に発生する特性X線は、元素固有のエネルギーを持っています。そのため。そのエネルギーを読み取る事で、試料の元素組成を分析することが出来ます。これを定性分析と言います。5B ~ 92U までの元素測定が可能で、測定する元素にもよりますが、検出下限は約0.05%程度です。
定量分析
含有量が既知の試料の測定強度と未知試料の強度を比較し、含有量を推定することを定量分析と言います。装置には各元素の感度曲線データが格納されており、簡易的に定量値を算出することが出来ます。また、標準試料を用いて検量線を作成することで、より詳細な定量分析を行うことが可能です。試料中に数%以上含まれる主成分であれば、定量精度は1~2%程度、検量線法であれば0.1%程度となります。(測定元素や測定条件により変動します)
②面分析(元素マッピング分析)
定性分析により一定範囲の試料の元素組成を把握すると共に、各元素がどのように分布しているかを知る分析方法です。元素マッピング分析は、元素ごとに色分けをし、その濃度を色の濃淡で表現するため、濃度の二次元分布を視覚的に捉えやすくなります。2μm×2μmの微小領域から80mm×80mmの広範囲領域までのマッピング分析が可能です。
③線分析
面分析同様、試料の一定範囲を直線的に定性分析し、含まれる元素とその分布を知る分析方法です。2μm~80mmの領域で分析が可能です。
分析費用
お困り事やご興味のある方、まずはお気軽にご相談、ご質問ください。
分析項目 | 料金 |
定性・定量分析(1サイクル) |
¥50,000~ |
表面研磨 | ¥60,000~ |
※試料の性状、測定元素、研磨片の大きさなどによって価格は変更となります。