IC-ICP-MSによる化学形態別分析
環境
製品開発・品質
OUTLINE
サービス概要
IC-ICP-MSとは
IC-ICP-MSとは、IC(イオンクロマトグラフ)にICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析装置)を接続したものです。
各種イオンをICで分離し、ICP-MSを用いて定量を行います。
無機元素を含む化学種について、総量だけではなく、化学形態別分析(スペシエーション分析)が可能です。
FEATURES
特徴
化学形態別分析(スペシエーション分析)とは
リンや硫黄のように複数の化学形態を持つ元素について、それぞれの化学形態について分析を行うことを指します。
「スペシエーション(speciation)」とは、生態学の分野では「種分化」という意味で用いられる英単語ですが、分析化学の分野では「元素の化学形態別分析」という意味で用いられています。
それぞれの装置の役割
<IC-ICP-MSにおけるICの役割>
水溶液中に存在しているイオンを化学形態別に分離します。
<IC(イオンクロマトグラフ)とは> 液体中の含有イオンを分析する装置です。 固定相であるカラム(イオン交換樹脂)に、試料溶液と共に移動相である電解質溶液(溶離液)を流すと、イオンの価数や半径、疎水性といった性質の違いによってカラム内を移動する速度が異なるため、異なるイオン同士を分離させることができます。 試料の種類や目的成分に応じてカラムや溶離液、測定条件を使い分けることで、多様な分析が可能です。 |
<IC-ICP-MSにおけるICP-MSの役割>
イオンクロマトグラフで分離したイオン中に含まれる無機元素を定量します。
弊社で保有するICP-MSはトリプル四重極(ICP-MS/MS)であるため、シングル四重極では困難なリンや硫黄の定量が可能です。
<ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析装置)とは> マイクロミスト化した溶液試料をプラズマでイオン化し、分離したイオンを質量数ごとに定量する装置です。 試料をICP(誘導結合プラズマ)に導入すると、プラズマによって原子状態まで分解され、アルゴンプラズマにより励起・イオン化されます。通常、ICP-MSは各質量数の信号強度(cps)から含有量を算出しますが、IC-ICP-MSでは、横軸に時間(min.) 、縦軸に信号強度(cps)をプロットしたクロマトグラフを質量数ごとに取得し、得られたピークの面積から形態別の含有量を算出することができます。 |
「IC-ICP-MS」と「IC-MS」の違い
<IC-ICP-MSの特徴>
ICにICP-MSを接続します。ICからICP-MSに導入された化合物や分子はプラズマによって分解され、無機元素のイオンの形となって、ICP-MSの検出器によって定量されます。
「PO4」や「SO4」の場合、「P (質量数:31)」や「S (質量数:32)」として検出されます。
ICP-MSで検出可能なイオンを含まない化合物や分子は検出できません。
<IC-MSの特徴>
ICに質量分析計を直接接続します。検出したピークのイオンの分子量が分かります。
「PO4」や「SO4」の場合、「PO4 (分子量:95)」や「SO4 (分子量::96)」として検出されます。
無機元素を含まないイオンであっても定量可能ですが、どのような組成のイオンなのかは、別の手段で同定する必要があります。
分析Q&A
Q. ICにICP-MSを接続するとどんなメリットがあるの?
A. ICやICP-MS単体では分析が困難な化学種であっても、双方の利点を組み合わせることで分析が可能になります。
また、ICで夾雑物質による干渉ピークで埋もれてしまったイオンであっても、ICP-MSは質量数で分離・検出することが可能であるため、夾雑物質に邪魔されることなく目的の化学種を定量することができます。
Q. どんなイオンが測れるの?
A. イオンクロマトグラフで分離可能であり、ICP-MSで検出ができる元素が一つでも含まれていれば測定は可能です。お気軽にご相談ください。
- ICP-MSで検出可能な元素
P, S, Cl, Br, I, 各種金属 - ICP-MSで検出ができない、または難しい元素
F, C, H, N, O, He, Ar 他
Q. どんな試料が測れるの?
A. 基本的には水溶液が対象ですが、固体試料の場合でも別途前処理を行うことで分析が可能です。お気軽にご相談ください。
Q. どのくらい試料量が必要なの?
A. 試料の性状により異なりますが、10~100mL程度あれば測定可能です。
Q. どれくらいの時間で結果が出るの?
A. 標準納期は3週間ですが、柔軟に対応します。