エンジンオイルに含まれる有機酸および無機イオンの分析
2025.01.20 技術情報
自動車などに使用されるエンジンオイルは、使用に伴って劣化すると、性能の低下や故障の原因となる可能性があります。オイルの劣化が進むと、オイルに含まれる炭化水素が酸化して有機酸を生成したり、オイルや燃料由来の硫黄、窒素の酸化によってSOx、NOxが発生したりすることが知られています。これらの成分は劣化の程度を知るための指標の1つとなっており、イオンクロマトグラフィーを用いて測定することが可能です。ここでは、イオンクロマトグラフィーによるエンジンオイル中の陰イオン分析をご紹介いたします。
乗用車よりサンプリングした使用期間の異なる2種類のエンジンオイルについて、超純水を用いた液液抽出を行い、イオン成分を抽出しました。この抽出液をイオンクロマトグラフィーにて2条件で測定しました。エンジンオイル抽出液のクロマトグラムを下図に示します。
エンジンオイル抽出液のクロマトグラム[測定条件1](新品および1年間使用品)
エンジンオイル抽出液のクロマトグラム[測定条件2](新品および1年間使用品)
それぞれのオイル中の成分について比較すると、1年間使用したオイルの方が、新品のオイルに比べてフッ化物イオン、酢酸イオン、ギ酸イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオンが多く含まれていることが分かりました。この結果から、1年間使用したオイルは有機酸や無機イオンが増加しており、劣化が進んでいることを確認できました。
イオンクロマトグラフィーのほかに、ICP-OES・ICP-MSを用いたオイル中の微量金属成分なども対応可能です。お気軽にお問い合わせください。
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