連載コラム『ティーブレイク』(12)
2023.05.08 技術研究、コラム
新型コロナを考える
先日、WHOから新型コロナ緊急事態宣言の終了が発表され、日本でも5月8日から5類に移行された。全世界でどれ程多くの命が奪われ、今も後遺症に悩まされ続けている人がいることか。街から人が消え、経済が全面的にストップした状態からなんとか新たな段階に移行したということだろう。
想えば、新型コロナで日本の社会は大きく変わったのではないだろうか。
在宅勤務やオンライン授業など、仕事や授業の在り方も大きく変化した。通勤地獄から解放され、温泉地に滞在しながら遠隔で仕事をするといった、これまで考えもしなかった仕事のスタイルが可能となった。
この時期、新卒学生の面接を行う企業もあると思うが、面接は当たり前のようにオンラインである。画像の映り具合(背景)、照明、通信環境、緊急時(通信途絶)の対応など、従来の対面面接にはない注意や準備が必要となったが、遠隔地から容易に面接を受けることができるようになった。
また、ISOなどの外部審査もリモートが主流となった。現地審査と称しながら事前に関係書類を電子媒体にて提出した上で遠隔地からリモートで審査を受ける。これでは現地審査ではなく書類審査ではないかという声も聞かれるが、反面企業側では業務に関係する書類の電子化だけでなく、業務そのものの自動化などにも否応なく対応することとなり、働き方そのものの改革が大きく進んだというところもあるだろう。オンラインによる社内外の会議や研修など、あっという間に社会全体がオンライン化、電子化、自動化を受け入れていった。
新型コロナに対し、社会はものの見事に、柔軟に、素早く、そしてしたたかに対応している。言葉として適切でないかもしれないが、多くの犠牲を払いながらも今までなかなか取り組めなかった働き方改革を促進させることになった。
新型コロナはまだ終息したわけではないが、コロナをオンライン化で捉えた場合、一つ大きな課題が明らかになった。それは、人との接点(対面)、コミュニケーションの重要性である。感染症に対し人との接触を避けなければいけないが、接触することなく社会は動かない。コミュニケーションは大切だからといって、簡単に各種システムを以前に戻す、逆戻りさせることは解決を意味しない。ここは、コミュニケーションの重要性をしっかり認識しつつも、オンライン化、自動化などをさらに推進させ、社会を変革させていくことが我々の責務、役割ではないでしょうか。
さあ、皆さん5月8日を新しい社会のスタートとしましょう。
2023年5月8日 TTC参与 菊谷 彰